マルク・マルケスがまたもパーフェクトウイン
難しい条件のもと重要記録の数々が更新される
出場全車がミシュランタイヤを使用して行われている二輪ロードレースの最高峰 MotoGP世界選手権の2025年シーズン第4戦カタールGPが開催され、Ducati Lenovo Teamのマルク・マルケスが、予選、スプリントレース、グランプリレース(決勝レース)のすべてを制し、グランプリレースでは早くも今季3勝目を挙げました。
カタールGPでは、レースは日没後に行われますが、フリープラクティスなどは日中に実施されます。今大会では、日中の路面温度は最高で56℃という高さに達し、それが日没後に20℃以上も低下した中でスプリントレースやグランプリレースが開催されました。しかし、ルールによってスリックタイヤの種類はフロント用は3つ、リヤ用は2つと限られており、同じ種類のタイヤが路面温度55℃でも35℃でも高いパフォーマンスを発揮せねばなりません。この難しいタスクをMICHELIN Power Slickは見事にこなし、オールタイムラップレコード(当該サーキットにおけるMotoGPマシンでの史上最速ラップタイム)、ルサイル・サーキットを11周するスプリントレースの優勝レースタイム、同じく22周して行われるグランプリレースの優勝レースタイム、そしてグランプリレース中のファステストラップという4つの重要記録をいずれも更新。高性能のさらなる進化を示しました。
カタールGP優勝 マルク・マルケス(ドゥカティ・デスモセディッチGP)
オールタイムラップレコードを叩き出して開幕4戦連続となるポールポジションを獲得したマルケスは、続いて行われたスプリントレースを悠々制して、こちらも開幕4戦連続での優勝を達成。グランプリレースでは、前半はライバルたちと激しいバトルを展開すると、レース周回数が残り3分の1を切ったところで首位に立ち、今季3度目のグランプリレース優勝を飾りました。オールタイムラップレコード、スプリントレースの優勝レースタイム、グランプリレースの優勝レースタイム、そしてグランプリレース中のファステストラップという4つの重要記録の更新は、すべてマルケスによって果たされました。
砂漠地帯にあるルサイル・サーキットは、路面に落ちた砂によってタイヤの摩耗が進行しがち。その上、MotoGPカタールGPでは、日中の50℃を超える高さの路面温度にも、日没後に20℃も低下した路面温度にも対応しなければならないという、独特の難しさがあります。
グランプリレースを2番手でフィニッシュしたのはRed Bull KTM Tech3のマーベリック・ビニャーレスでした。KTM勢としても今季これまでで最高のパフォーマンスでしたが、タイヤの内圧が規定値を一時的に超えていたことがレース後に判明し、16秒加算のペナルティを受けました。
グランプリレースではCastrol Honda LCRのジョアン・ザルコが5位に。昨シーズンはコンストラクター選手権で最下位という屈辱を味わったホンダですが、ザルコが第2戦アルゼンチンGPでの6位に続いて好位置でのフィニッシュを果たし、ホンダ関係者にも明るい表情が戻ってきています。
2021年のMotoGPチャンピオンであるMonster Energy Yamaha MotoGPのファビオ・クアルタラロは、昨年大会の一番時計を上回る好タイムを予選で刻んで3位を獲得し、ヤマハ勢としても久しぶりのフロントロウを獲得。スプリントレースでは最後まで表彰台を争ったすえに5位に入りました。
シーズン前の公式テストでの転倒による負傷のため開幕3戦の欠場を余儀なくされていた前年チャンピオンのホルヘ・マルティンが今シーズン初登場。Aprilia Racingで初めてのレースに臨みましたが、グランプリレースで転倒し、胸部をひどく傷めることになってしまいました。
スプリントレースもグランプリレースも33℃という路面温度のもとでスタート。スプリントレースでは大多数のライダーが、フロント用、リヤ用ともにミディアム仕様のMICHELIN Power Slickを選択。その倍の周回数で行われるグランプリレースでは全ライダーが前後にミディアムを使用しました。