PONOS FERRARI 296が予選から6つ順位を上げ6位に
続く7位にはStudie BMW M4が入る
日本で最も高い人気を誇るレースシリーズであるSUPER GT。その2024年シーズン第3戦が鈴鹿サーキットで開催されました。ミシュランはGT300クラスに出場する3台のパートナーチーム車両にタイヤ供給を行っていますが、今大会におけるフランス製タイヤ装着車の最上位はNo.45 PONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ/リル・ワドゥー)で、クラス6位でフィニッシュ。同車は、予選は12位という結果でしたが、決勝レースでは良好なペースで終始走行し、6つのポジションアップを成功させました。そして、続く7位にもミシュランユーザーであるNo.7 Studie BMW M4(荒 聖治/ニクラス・クルッテン/ブルーノ・スペングラー)が入りました。もう一台のミシュランタイヤ装着車であるNo.20 シェイドレーシング GR86 GT(平中克幸/清水英志郎)は、今シーズンこれまでのミシュラン勢でベストの予選結果となる4位を獲得。しかし決勝レースでは苦戦を余儀なくされ、15位でのフィニッシュとなりました。
SUPER GT第3戦 鈴鹿 PONOS FERRARI 296
長年にわたってSUPER GTでは、距離で長さを定めたレースのみが行われてきましたが、今シーズンから時間で定めたレースも導入され、今大会も時間制レースとして行われました。SUPER GTにおいては長めの3時間レースとして開催された今大会では、途中で給油のためのピットストップを2度行うことが各車に義務づけに。つまり、基本的には3つのスティントのレースとして行われましたが、No.45 PONOS FERRARI 296は、初めの2つのスティントをケイ・コッツォリーノが、最後のスティントを女性フランス人ドライバーのリル・ワドゥーが担当。クラス12番手のグリッドからスタートして、同車の今季これまでのベストリザルトとなる6位でフィニッシュしました。
No.20 シェイドレーシング GR86 GTは、土曜日の午前の公式練習において、今大会に向けて事前に用意してきたセットアップがいまひとつ機能していないことが確認されました。そこで、同日午後の予選にはセッティングを大きく変更して出走。結果的に4番手という、今季これまでで最高の予選順位を獲得しました。
No.45 PONOS FERRARI 296は、今大会では決勝レースにおいてハイペースを長く安定的に刻めるようアプローチ。そのぶん予選では苦労することをチームでは覚悟していました。しかし、ケイ・コッツォリーノとリル・ワドゥーのふたりは予選12位となる合計タイムをマーク。チームとしては予想以上の予選となりました。
No.7 Studie BMW M4は荒 聖治とニクラス・クルッテンのアタックによって予選8位につけました。明くる決勝日は朝から曇り空が広がり、決勝スタートの1時間半前に行われたウォームアップ走行(写真)は降雨に見舞われて路面はウェットに。しかし、このセッションが終わると、雨が上がって太陽が顔をのぞかせました。
ウォームアップセッション後に天候は急速に回復し、鈴鹿サーキットの上には青空が広がりました。出場各車は、予選で使用したドライ用タイヤを履いてスターティンググリッドに。それでもレース中に一時的でも雨が降るという読みが支配的でしたが、実際には降雨は一切なく、走行は終始ドライ路面で行われました。
写真はスタート直後のシーン。ミシュランユーザーの3台はいずれもストレートのアウト側につけて第1コーナーへ進入。この後、No.7 Studie BMW M4とNo.45 PONOS FERRARI 296は、ミシュランタイヤの温まりの早さを生かしてオープニングラップのうちにそれぞれ前走車をかわし、好調な滑り出しを見せました。
レースペース重視のセッティングで今大会に臨んだNo.45 PONOS FERRARI 296は、予選は12位に留まったものの、決勝レースでは目論見どおりにポジションを上げていき、コッツォリーノが走った初めの2スティントで7番手にまで浮上。ワドゥーが担当した最終スティントでもひとつ順位が上がり、6位入賞を果たしました。
GT300クラスに出場した27台のうち、3名のドライバーを走らせたのは7台。そのうちの1台がNo.7 Studie BMW M4で、スペングラー→荒→クルッテンの順で走行。スペングラーが担当した第1スティントのうちに2つポジションを上げ、その後ひとつ落としましたが、7番手のポジションを守り切ってゴールしました。
予選では4番手グリッドを獲得する速さを見せたNo.20 シェイドレーシング GR86 GTでしたが、決勝レースではペースの維持に苦しみました。最後の第3スティントでエクストラハードタイヤを選んだことも裏目に出てしまい、イレギュラーなピットストップを強いられるという悔しいレースとなってしまいました。
No.45 PONOS FERRARI 296が決勝レースで見せた良好なペースが示すとおり、適切な条件を与えられたミシュランタイヤは高いパフォーマンスを今大会でも発揮しました。そして今回のレースはミシュランにとって、GT300クラス用タイヤ開発における方向性を見定めるのにとても有効なデータを集めることができた一戦となりました。
【サクセスウェイト】
SUPER GTは、各ドライバーの前戦終了時点での累積ポイントに応じてハンディキャップを課すサクセスウェイト制度を採用しています。今大会におけるミシュランタイヤ装着車では、No.7 Studie BMW M4が22kg、No.45 PONOS FERRARI 296が4kgのハンディウェイトをそれぞれ搭載。一方、No.20 シェイドレーシング GR86 GTはノーハンディの状態で出走しました。
【GT300クラス予選】
2024年シーズンのSUPER GTの予選方式は、すべての出場車両がQ1とQ2の2つのセッションを走り、その合計タイムで順位を決定するものです。また、Q1とQ2で使用できるドライコンディション用タイヤは1セットのみとされ、決勝レースもドライコンディションで迎えた場合は、予選で使ったタイヤでスタートすることが義務づけられています。
今回、ミシュラン勢3台の中で予選トップにつけたのはNo.20 シェイドレーシング GR86 GTでした。予選日は晴天に恵まれましたが、20号車はQ1のAグループで平中克幸のドライブによってセッション最速の1分58秒408をマーク。Q2では清水英志郎が1分59秒418を記録し、合計タイム3分57秒826で予選4位を奪いました。
No.7 Studie BMW M4は、3時間レースである今大会に荒 聖治、ニクラス・クルッテン、ブルーノ・スペングラーの3名のドライバーで臨みましたが、予選では荒とクルッテンがアタックを担当。合計タイム3分58秒321(Q1:荒 1分58秒793/Q2:クルッテン 1分59秒528)で予選8位に。そしてNo.45 PONOS FERRARI 296は、合計タイム3分59秒884(Q1:ケイ・コッツォリーノ 1分59秒880 /Q2:リル・ワドゥー 2分00秒004)で予選12位となりました。
【GT300クラス決勝】
予選は晴天のもと、路面温度38〜41℃のドライコンディションで行われましたが、その翌日の決勝日は朝から曇天に。そして、正午からのウォームアップ走行では一時的な降雨がありました。ほどなく雨は止みましたが、3時間にわたる決勝レースの途中でも雨に見舞われる可能性が高いだろう、というのが大半のチームの見方でした。しかし、実際には雨は降らず、レースは終始ドライコンディションでの開催に。ただし、路面温度はレース前の予想ほどには上がらず、スタート時で35℃。そして3時間後のレース終了時には27℃にまで低下していました。
今大会も前戦に続いて3時間レースとしての開催であり、給油のためのピットストップを2度行うことが各出場車両に課されました。つまり、基本的には3つのスティントで構成されるレースでした。なお、GT300クラス優勝車両の周回数は85周でした。
No.45 PONOS FERRARI 296は、3つのスティントのうち初めの2つをケイ・コッツォリーノが担当。彼はオープニングラップでひとつポジションを上げてみせると、8周目にも1台をかわしてクラス10番手に浮上。その順位を保ちながら20周にわたった第1スティントを走り切ると、第2スティントでも好走を見せて7番手にポジションを上げました。そして52周目を終えたところで2度目のピットストップを実施。替わって乗り込んだリル・ワドゥーは、鈴鹿でレースを戦うのは今回が初めてでしたが、フェラーリが彼女を公式ドライバーとして起用していることを誰にも納得させる見事なドライビングを披露。ワドゥーのスティントでさらにひとつ順位を上げ、No.45 PONOS FERRARI 296は自己ベストリザルトとなる6位でフィニッシュしました。
No.7 Studie BMW M4は、第1スティントをブルーノ・スペングラー、第2スティントを荒 聖治、第3スティントをニクラス・クルッテンがそれぞれ担当しました。第1スティントでは、スペングラーがオープニングラップでひとつポジションを上げることに成功。さらに、19周目にも1台をかわすと、その翌周にはピットストップを行いました。荒が担当した第2スティントでのNo.7 Studie BMW M4は、概ね8番手を走行。2回目のFCY(フルコース・イエロー)が解除された48周目に2度目のルーティンピットストップを実施し、クルッテンがドライブした第3スティントでは7番手を走り続けてゴールしました。
No.20 シェイドレーシング GR86 GTは、4番手という今季これまでで最高のグリッドから決勝レースをスタート。第1スティントと第2スティントは清水英志郎が、そして第3スティントは平中克幸がドライブしましたが、レースを通じて思うようにペースを維持することができず、じりじりと後退。第3スティントでは、ミシュラン勢3台の中で唯一エクストラハードタイヤを選択したものの、路面温度が一段と低下していたコンディションに合わず、ハードタイヤに換えるためにチームは予定外のピットストップを行わねばなりませんでした。結果、No.20 シェイドレーシング GR86 GTは2周後れの15位に終わりました。
■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:
「この週末に我々は、ドライコンディション用タイヤではハードとエクストラハードの2種類を持ち込みました。3台の我々のパートナー車両は、予選ではいずれもハードタイヤを使用しました。45号車はレースを通じてハードタイヤを使いましたが、7号車と20号車は第2スティントではエクストラハードを装着しました。最後の第3スティントでは、7号車はハードタイヤに戻しましたが、20号車はエクストラハードで継続。しかし、この時点での路面コンディションにはマッチせず、チームはハードタイヤに換装してレースの最後のパートを走りました。
レースの途中で雨が降り、イレギュラーなタイミングでのピットストップがきっとあるものと見込んでいましたが、実際にはドライタイヤで走り通すことになりました。我々は、各車両に追加的に設定されたBoP(性能調整措置)に対応するためにタイヤのレンジを修正しなければなりませんでしたが、その領域の対策は比較的順調に進んでいます。進化させなければならないところはまだありますが、今回のレースで今後進むべき方向性をつかむことができたと思っています」