マルコ・ベッツェッキが今季5勝目&イタリア人ライダー最高峰クラス通算300勝目を獲得
路面温度60℃の高温下で毎周0.6秒以上も速いペースをミシュランタイヤが支える
前週にモビリティリゾートもてぎで行われた日本GPの余韻が残る中、2週連続開催であるMotoGP世界選手権の環太平洋ラウンド2戦目となるインドネシアGPが2026年シーズン第17戦として開催され、土曜日のスプリントレースはDucati Lenovo Teamのマルク・マルケスが、日曜日のグランプリレース(決勝レース)はAprilia Racingのマルコ・ベッツェッキがそれぞれ優勝を飾りました。ベッツェッキのグランプリレース優勝は今季5度目であると同時に、世界グランプリロードレースの最高峰クラスにおけるイタリア人ライダーの通算300勝目となるものでした。
今大会が行われたマンダリカ・サーキットは、タイヤへの攻撃性がとても高い路面である上に、地域柄、路面温度が非常に高いものとなるため、タイヤにとって極めて過酷なコースです。MotoGPにおけるオフィシャルタイヤサプライヤーであるミシュランは、ドライコンディション用MICHELIN Power Slickのリヤタイヤについては、熱負荷に適切に対応できる強化型ケーシングを採用して準備。果たして、グランプリレースでは路面温度が60℃に達した中で40分強にわたって繰り広げられるものとなりましたが、その優勝レースタイムは従来記録より1周あたり平均で0.6秒以上も速いペースのものとなりました。また、オールタイムラップレコード(当該サーキットにおけるMotoGPマシンでの史上最速ラップタイム)やグランプリレース中のファステストラップも記録更新され、ミシュランタイヤの高性能がタフなコンディションの中でひときわ強く輝きを放ちました。
GRAND PRIX RACE RESULT - TOP 6
POS. | NO. | RIDER | MAKE | TEAM | FRONT/REAR TIRE | TIME/GAP |
1 | 72 | マルコ・ベッツェッキ | APRILIA | Aprilia Racing | F: SOFT/R: MEDIUM | 40'46.582 |
2 | 25 | ラウル・フェルナンデス | APRILIA | SuperFile Trackhouse MotoGP Team | F: SOFT/R: MEDIUM | + 4.260 |
3 | 89 | ホルヘ・マルティン | APRILIA | Aprilia Racing | F: SOFT/R: MEDIUM | + 6.890 |
4 | 79 | 小椋 藍 | APRILIA | SuperFile Trackhouse MotoGP Team | F: SOFT/R: MEDIUM | + 9.378 |
5 | 37 | ペドロ・アコスタ | KTM | Red Bull KTM Factory Racing | F: SOFT/R: MEDIUM | + 9.492 |
6 | 93 | マルク・マルケス | DUCATI | Ducati Lenovo Team | F: SOFT/R: MEDIUM | + 10.778 |
SPRINT RACE RESULT - TOP 3
POS. | NO. | RIDER | MAKE | TEAM | FRONT/REAR TIRE | TIME/GAP |
1 | 93 | マルク・マルケス | DUCATI | Ducati Lenovo Team | F: SOFT/R: SOFT | 19'37.125 |
2 | 79 | 小椋 藍 | APRILIA | SuperFile Trackhouse MotoGP Team | F: SOFT/R: SOFT | + 0.509 |
3 | 49 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | DUCATI | Pertamina Enduro VR46 Racing Team | F: SOFT/R: SOFT | + 0.835 |
インドネシアGP優勝 マルコ・ベッツェッキ(アプリリア RS-GP)
アクシデントなどが続いたシーズン中盤の失速状態から復調し、強さを取り戻してきたベッツェッキですが、優勝となると5月末のイタリアGPから後は遠ざかっていました。そして今大会では、予選で2位を獲得したものの、スプリントレースでは同じアプリリア RS-GPに乗るラウル・フェルナンデスとスタート直後に接触して両者リタイアに。ふたりは翌日のグランプリレースでは首位の座をかけてバトルを演じましたが、先行したフェルナンデスをベッツェッキが19周目にかわすと、リードを大きく広げてフィニッシュしました。レース後、ベッツェッキは「タイヤがとても良かった。スタートからフィニッシュまで速いペースで走り続けられたし、何より、フロントタイヤのフィーリングが素晴らしかった。こんなに暑いコンディションの中でもね」とミシュランタイヤを称賛しました。
バリ島の隣に位置するインドネシアのロンボク島にあるマンダリカ・サーキットは、レイアウト的にも路面的にも、タイヤに非常に厳しいコース。MICHELIN Power Slickのコンパウンド設定はいつもどおり、フロント用、リヤ用ともに2種類でしたが、リヤタイヤのケーシングには、温度上昇のピークを抑える構造を持つ強化型を採用しました。
マンダリカは海に面しており、走行のない日が多いこともあって、MotoGP走行初日の路面は汚れ気味なのが常です。それにもかかわらず、Trackhouse MotoGP Teamのフェルナンデスは走り出しから速さを見せ、金曜日のプラクティスで新しいオールタイムラップレコードを樹立。土曜日の予選ではキャリア初のポールポジションを獲得しました。
スプリントレースでは、Aprilia Racingのホルヘ・マルティンが独走態勢を築きましたが、フロントタイヤの内圧を既定値内に収めるため走り方の工夫が求められる状況になり、そこをつかさず突いたマルク・マルケスが首位に浮上。そのまま逃げ切って今季スプリント8勝目を飾りました。2位には、0.5秒差まで追い上げた小椋 藍(写真後方のライダー)が入りました。
前日のスプリントレースでアクシデントに巻き込まれた格好のフェルナンデスは、右手の人差し指を骨折。ヒビが入った中指でブレーキレバーを操作するという不屈のライディングでグランプリレースの首位を走り続けました。しかし、レース半ばにはさすがにペースが鈍る状況となり、ベッツェッキが先行して優勝。フェルナンデスは値千金の2位に。3位にはマルティン、4位には小椋が入り、アプリリア勢による1-2-3-4フィニッシュとなりました。
Trackhouse MotoGP Teamの小椋 藍は、金曜日に転倒を2度喫し、予選は7位となって3列目グリッドからのスタートに。スプリントレースでは、同じアプリリア陣営の他のライダーたちの自滅も助けとなって2位にまで進出しました。また、グランプリレースでは、終盤のペドロ・アコスタとの激しいバトルを制して4位でフィニッシュ。そのアコスタをライダー選手権でも抜いてランキングを4位にまで戻し、今シーズンも残るは5大会となりました。
40分強にわたるグランプリレースの優勝タイムは従来記録を17.807秒も一気に短縮したものとなりました。それも、路面温度が60℃の高温に達した中でのことでした。また、グランプリレース中のファステストラップ新記録がベッツェッキによって叩き出されましたが、それは27周のレースの70%が経過した19周目のことであり、灼熱のコンディションでもハイパフォーマンスを発揮し続けるミシュランタイヤの特長がよく表れた一戦となりました。